コラム

産業カウンセラー/臨床心理士 緒方俊雄のコラムです。

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イライラ、クヨクヨしていませんか

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かなり以前の徹子の部屋で徹子さんが話されていた話です。
徹子さんが敬老の日に新聞を読んでいたところ、100歳になられた方が長寿の秘訣を書いていたそうです。「早寝早起き」、「腹八分」、「散歩をする」などなどいろいろな秘訣が書かれていたそうなのですが、最も多かったのが、「クヨクヨしない」ということだったそうです。

実際に医学的なデータがあるのですが、クヨクヨする性格の人はガンになりやすく、イライラする性格の人は脳溢血や心筋梗塞などの心疾患になりやすいそうです。これに対して、穏やかな性格の人はガンや心疾患になりにくいそうです。
また、ストレスが強くなるとストレスが弱い場合に比べて、ガンや心疾患になる割合が約2倍になるそうです。
ストレスがかかって、イライラ、クヨクヨしていることがいかに体に悪いかということが分かります。

ストレスが長期間かかると、これ以外にもいろいろな体の病気、神経性の病気、心の病気が起こります。体の病気としては、胃・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、過呼吸症候群、気管支炎、偏頭痛、関節リュウマチ、腰痛、メニエール症候群、円形脱毛症、インポテンツ、食欲不振症などが考えられます。神経性の病気としては、神経性嘔吐、神経性狭心症、心臓神経症、胃腸神経症、膀胱神経症、自律神経失調症などが挙げられます。心の病気としては、不眠症、抑うつ状態、うつ病、パニック障害などがあります。

お医者さんによっては、骨折や捻挫などの整形の病気以外は全てストレスによってなるという方もいるほどです。
それは言いすぎかもしれませんが、ストレスがかかると免疫力が下がり、風などいろいろな病気にもかかりやすくなります。

それでは、ストレスとどう対処したら良いのか、考えてみましょう。ストレスは自律神経に影響します。
自律神経には、交感神経と副交感神経があります。
車でいうと、交感神経がアクセルの働き、副交感神経がブレーキの役割をしています。体が活発に活動している時は、交感神経が、体がリラックスしている時は、副交感神経が働いています。また、自律神経は感情にも関係し、イライラしたり、クヨクヨしている時は交感神経が働き、穏やかな気持ちの時は、副交感神経が働いています。普段は副交感神経を働かせて穏やかな気持ちで過ごし、何か困った時だけ、それに対処できるように交感神経が働けば、うまくバランスが取れます。
ところが、ストレスがかかるとそれに対処しようとして、交感神経が働きます。
ストレスがかかっている時間が短ければよいのですが、ストレスがかかっている時間が長くなり、ずっと交感神経が働いていると、ゴムが伸びきって戻らない状態になり、心と体のバランスが崩れ、心や体の病気になるのです。

それでは、どうしたら良いのでしょうか。
ずっと交感神経が働いて、心と体のバランスが崩れる前に、副交感神経に切り替えて、心と体のバランスを取り戻せば良いのです。
ただし、ここで問題があります。
筋肉を調整する体感神経は意識して調整することができますが、心臓や呼吸をつかさどる自律神経は無意識に働いているので、人が意識して調整することができません。
たとえば、「今日はマラソンをして心臓を使い過ぎたので、心臓を1時間休ませてやろう」と考えても、心臓を止めたり、脈拍を遅くすることはできません。
ということは、特別な副交感神経に変える方法が必要となります。

簡単にできる副交感神経に変える方法としては、「食べる」、「入浴する」、「カラオケで叫ぶ」、「泣く」などの方法があります。
東洋で副交感神経に変える方法としては、「禅」、「ヨガ」などの呼吸法があります。
西洋で副交感神経に変える方法としては、「自律訓練法(シュルツ)」、筋弛緩法(ジェイコブソン)」などの科学的にアプローチがあります。
自分にあったリラクセーション技法(副交感神経に切り替える方法)を身につけ、イライラ、クヨクヨせず、元気にストレス社会を乗り切りましょう。

  • 2012年04月12日(木)15時32分

豊かな定年後を迎えるために

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東レ経営研究所の佐々木常夫所長の講演(08年メンタルヘルス大会 08年8月27日)を聞いて、驚かされた話があります。佐々木さんが飲み屋で酒を飲んでいたところ、隣で中年の女性のグループが飲んでいて、そちらの話の方が面白そうなので、聞き耳を立てていたのだそうです。

すると亭主の定年後の話題になり、なんと14人中12人が
「夫が定年になったら直ぐに死んで欲しい」と言ったというのです。

酒の勢いもあったのかも知れませんが、ある程度本音なのではないでしょうか。
私のような中年男性にとっては驚きよりも、背中が寒くなる話です。
一体、その12人の夫の何が悪かったのでしょうか?

結婚して、子供が産まれるまでは、おそらく問題はなかったのではないでしょうか。
(最近は、結婚後直ぐに離婚するケースも増えてきましたが。)
この時期は、夫婦がお互いに向き合っています(夫⇔妻)。

ところが子供が産まれると、この関係に変化が起こります。
奥さんは子供に関心が移り、夫は年齢的に仕事が忙しい時期だということもあり、
仕事にまい進するようになります。

子供が産まれたので、仕事をがんばらなければならないという理屈ですが、
実は家に帰って育児に巻き込まれるよりも、仕事をしていた方が楽なのかもしれません。
日本では仕事が美徳になっているので、仕事で遅いと言えば、奥さんも何も文句を言えません。
「仕事人間」の誕生です。

この時点で、「妻→子供」、「夫→仕事」と夫婦はお互いに向き合わなくなります。
夫は自分がきちんと働いて、家族を養っていると思っていますが、
奥さんは子育てや家事を手伝ってくれない夫に不満をつのらせていきます。
しかし、その不満に耐えているのは、夫が給料を持ってきてくれるという一点なのです。

子供が自立すると、奥さんの関心は趣味や友達に向かいます。
第2の青春をエンジョイするのです。
ところが、夫は相変わらず仕事にだけ向いています。

そして、定年になった時に、どのようなことが起こるのでしょうか?
夫はただ一つの関心事の仕事を失って、一人ぼっちです。
趣味や友達で充実している家内が楽しそうに見えて関わろうとします。

しかし、奥さんにとっては、給料を持ってこなくなった夫はもはや必要ない存在です。
家内につきまとうと、「濡れ落ち葉」、「粗大ごみ」、「産業廃棄物」などと言われてしまいます。そこで子供に関わろうとしても、「今さら父親ぶらないでよ」と一喝されてしまいます。

会社時代が懐かしくなり、昔の部下と飲もうと電話しますが、肩書き取れたらただの人です。
部下は自分の肩書きに付き合っていてくれていたのです。
もはや以前のように相手にしてもらえません。

しょうがなく、町内会に出かけて行って、
以前の調子で若い人に「お茶くれない」、「これコピーを取ってくれない」などと言っていると、
「何いばってるの」と相手にされません。
結局、誰にも相手にしてもらえず、あがけばあがくほど、寂しさを募らせていくだけです。

これが「仕事人間の定年後の悲劇」です。
これでは家内に、「定年になったら直ぐに死んで欲しい」と言われてもしかたないのかもしれません。
もはや遅すぎるのです。定年まで、仕事にしがみついていたのが、間違いなのです。

では、どうすれば良いのでしょうか?

本当は、子供が産まれた時点で、仕事とバランスを取り、
子育てと育児に関わったら良かったのですが、中年のおじさんにはもはや手遅れです。
その場合でも、なるべく早く、家内や子供と会話を持ち、自分の担当する家事を作ることです。
特に、50代になると、出世街道を突き進むごく一部の人を除いては、時間的に余裕が出てくるので、仕事、家庭、趣味とバランスを取ることが可能となります。

仕事では、周りと調和をとり、
若い人には無い付加価値を付けるなど働き方を見直すことが必要です。
60歳以降の生き方や仕事を意識することも大事でしょう。

家庭では、奥さんや子供と会話を持ち、家事を分担することです。
子供の高校、大学の進学や就職などは、
「社会の窓」として、父親の役割をこなす絶好のチャンスです。

また、60歳以降もできる趣味を作ることと、学生時代の友人関係を復活させることも大事です。
定年前にきちんと家庭と趣味でネットワークを構築しておいたら、
定年になってももう心配はありません。
きっと奥さんも「定年になったら直ぐ死んで欲しい」とは言わないでしょう。

佐々木さんの講演を聞いてから心配になり、同年代の人に話を聞いてみると、
ほとんどの人は家庭を顧みない「仕事人間」でした。本当に困ったことです。

ということで、私も含め、世の中年男性が「定年後の悲劇」に陥らないように、
思いつく処方箋をまとめてみました。

  • 2012年04月02日(月)12時00分

3日 3ヶ月 3年 

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読売ウイークリー(08年7月27日号)
「だから辞めたい新人君の本音」
(大卒以上で正社員として採用された今年の新入社員男女100人に意識調査を実施)

によると、入社3か月で「辞めたい」と思った人が45%もいるのだそうです。
その数字の大きさに驚いたのですが、
昔から、「3日 3ヶ月 3年」は「会社を辞めたくなる時期」と言われています。

調べてみたところ、「3日 3ヶ月 3年」は「会社を辞めたくなる時期」ばかりでなく、
「恋愛の壁」、「禁煙の壁」、「習い事の壁」でもあるのだそうです。
どうもひとつのことを長期間継続しようとする、「3日」、「3ヶ月」、「3年」で壁が出てくるようです。

「3日 3ヶ月 3年」がどのような壁になるのか、考えてみました。
恋愛の壁
3日:一目ぼれしたが、デートしたら別人だった
3ヶ月:相手の嫌なところが見えてくる
3年:マンネリ化して、他の人が良く見える(3年目の浮気)

習い事の壁
3日:やらなければならないが元々嫌いなこと(三日坊主)
3ヶ月:飽きてくる。向いていない気がする
3年:進歩が見られなくて、他のことがしたくなる

仕事の壁
3日:憧れていたのと違う
3ヶ月:学生時代が懐かしく、時間に縛られるのが嫌になる
3年:他の仕事が気になり、自分の仕事がつまらなく思える(隣の芝生は青く見える)

石の上にも3年(とても冷たい石でも、その上に3年も座っていれば温まる)と言いますが、
少しくらい嫌なことがあっても、
ひとつのことを3年続けることが大事なのではないでしょうか。

新入社員が会社に入って、3年一つの仕事を続ける、大体仕事というものが分かってきます。
その時点で、今の仕事を続けるのか変わるかを決断したら良いのではないかと思います。
仕事を変わる場合は、不満で変わるのではなく、やりたいことで変わることが大事です。
完全な職場などないのですから、
不満で変わっていたのでは、きりがありません。

そして、続けると決心したら、10年間続けて本当のプロになって欲しいと思います。
どんな仕事でも、10年間打ち込むと、その道のプロになれるのではないでしょうか。

新入社員の人たちは希望してその会社に入社したのですから、
「3日の壁」、「3ヶ月の壁」、「3年の壁」を乗り越えて、
本当のプロになり、仕事の面白さを実感して頂けたらと思います。

そのためにも、上司や先輩は後輩が悩んでいたら、
どの壁にぶつかっているかに気づき、その壁を乗り越えられるように、
導くことが重要なのではないでしょうか。

  • 2012年04月02日(月)00時00分