コラム

産業カウンセラー/臨床心理士 緒方俊雄のコラムです。

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競争社会で成功を目指してもいつかは挫折する

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勉強と仕事の競争社会で成功を目指してがんばっても、いつかは挫折することになります。一流高校を目指して勉強に励んで、やっと目標の高校に入ったとします。

その高校に入ったとたんに、周りは受験を勝ち抜いた勉強のできる人ばかりになります。その中で、一流大学を目指して、勉強に励んだとします。周りの学生は話はするが、自分の勉強のライバルばかりです。ちょっと休んだら、抜かれるので、アクセルを踏み続けます。周りの景色など見る余裕もなく、ひたすら全力速で走り続けます。この時点で、エンストを起こして、挫折する学生がでてきます。

運よく、この競争に競り勝って、何とか目指す一流大学に入ったとします。すると、周りは受験を乗り越えてきた、エリートばかりです。また新たな競争が始まります。ここでも周りの人に負けないように、アクセルを踏み続けなければなりません。部活やアルバイト、ましてや恋愛など、余分なことをしている時間などありません。ただただ、アクセルを踏み続けて走り続けます。もはやエンストを起こして、やる気がなくなってくる人が増えてきます。

仮に、この戦いにも打ち勝って、目指す一流の会社に入ったとしても、またまた新たな戦いが始まります。この戦いは、今までのように、勉強ができれば良いというわけではありません。実際に仕事をしたり、周りの人と協調することが求められます。

ここで、地雷が爆発します。うまく地雷をよけるためには、自分の考えを押し殺して、上司の考えの通りに動き、周りの人と協調しなければなりません。仕事では、どの仕事も評価されるように、100点を目指さなければなりません。

周りは先輩も同期も優秀な人ばかりです。気がつくと後輩も追いかけてきます。休んでいる暇なんかありません。またまたアクセルを踏み続けます。少しくらい無理だと思っても、体力に任せて、深夜まで残業して乗り越えようとします。

この戦いにも打ち勝って、マネージャーに達したとします。そうすると、またまた違ったことが求められます。今までは、全ての人に嫌われないように、自分の意見を押し殺して生きてきたのに、今度は自分の意見をきちんと言って、部下をまとめていかなくてはなりません。

ガキ大将をやった経験も部活で部長をやった経験も無いので、どうやって部下をまとめたらいいのかさっぱり分かりません。部下は自分のように仕事が出来ず、不安で仕事を任せられません。しかたなく、部下の仕事も自分でやるようになります。しかし、体力が衰えてきて、若い頃のようには、深夜までの残業に耐えられません。ここで、仕事につぶされて新たな地雷が爆発します。

運よくこの地雷も乗り越えて、出世街道を驀進したとします。ところが出世すると、またもや、今までには無かったことが求められます。体力、ゴルフ、英会話、酒などなどです。土日も休んでいる暇なく、ゴルフや英会話の練習が始まります。ここまでくると、それまでの競争に打ち勝ってきたのが不思議なくらいです。

一流高校、一流大学、一流企業、そしてその中の出世競争と、どんどん周りは能力の高い人になって、競争は過酷になってくるのです。その上、競争する内容も、勉強の成績、実務能力、コミュニケーション能力、人をまとめる力などなどどんどん変わってきますこのような出世競争に最後まで打ち勝つということ事態に無理があるのです。

最後に社長になるためには、超人的な能力、超人的な体力、超人的なコミュニケーション能力などが必要となるのです。人はいくら練習しても自分が100メートルを10秒で走ることができないことは簡単に理解できても、社長の仕事をこなすのが、100メートルを10秒で走るのと同じくらい大変なことが理解できません。さらに、このような出世競争に最後まで打ち勝つということ事態に無理があるということはなかなか理解できません。

では、どうすればよいのでしょうか。競争に勝とうということ自体が謝りなのです。本来、勉強が好きだから勉強をする、そうしたら良い高校や大学に入ったというのがあるべき姿です。一流高校や一流大学に入るために勉強するというのでは、目的と結果が入れ代わっています。やりたいから勉強をやっているのでないので、燃え尽きてしまうのです。

会社に入ってからも、仕事が面白いから仕事をしていたら、周りの人から評価されて出世していたというのがあるべき姿です。偉くなるために働くというのでは、やはり目的と結果が入れ代わっています。だから仕事で燃え尽きてしまうのです。

人生は、自分の本当に好きなことをやるべきです。そうすれば、特に競争する必要もありませんし、燃え尽きることもなくなります。好きなことをやって、競争ではなくて、協調を目指すことです。そうすれば、自然と結果はついてくると思います。

  • 2012年08月24日(金)10時34分

定年後は第2の人生

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以前は、定年後は余生と言われました。確かに、1960年に男性の平均寿命は65歳ですから、60歳で定年になっても数年ぶらぶらとしているとお迎えがきました。

しかし、現在は男性の平均寿命が80歳にもなっています。余生と言って、ぶらぶらしていても、いつまでたってもお迎えは現れません。そのうちに、ふらふらするのみもあき、お金も尽きてしまいます。また、20年くらいも目的もなくぶらぶら過ごしていたのでは余りにももったいないと思います。

日本人はもっとも幸せを感じるのが10代だそうです。確かに、小学校、中学校、高校、大学時代は幸せでした。

これに対して、アメリカの人がもっとも幸せを感じるのが70代だそうです。アメリカの人にとって70代は、ハッピーリタイアメントで、第2の人生を楽しむ時期なのです。

この時期は、仕事と子育ての荷を降ろして自分の好きなことが出来る時です。仕事でも趣味でもボランティアでも交友でも、自分の一番好きなことができるのです。

10代が一番幸せに感じるのは、10代は仕事や子育ての責任がなく、純粋に楽しいことができる時代だからです。60代、70代も、仕事や子育ての責任を終了し、純粋に楽しいことができる時代です。

アメリカの人に負けないで、私たちもハッピーリタイアメントを楽しみましょう。

  • 2012年08月03日(金)20時53分

人生のプラス、マイナス

人生の実りを考えるときに、矢沢永吉さんの話を思い出します。かなり以前に聞いた矢沢永吉さんが20歳の頃に人生について考えたのだそうです。

人生でプラス10を取ろうと思えば、マイナス10が必ずついてくる。人生でプラス5を取ろうとすれば、必ずマイナス5がついてくる。マイナスが嫌で、マイナスを0にしたければ、プラスも0になる。結局、矢沢永吉さんは、人生ではプラスとマイナスが相殺されると考えたのです。

ここからが矢沢永吉さんらしいのですが、一度しかない人生なのだから、マイナス10がついてきても、プラス10を取ろうと決めたというのです。矢沢永吉さんが直感的に学んだ人生哲学なのでしょうが、なるほどと感心しました。 

その後の矢沢永吉さんの人生を考えてみると、キャロルの成功、ソロ歌手としての成功、大金持ちになったなどのプラスばかりではありません。余りうまくいかなかったアメリカ進出やオーストリアのホテル経営でだまされて巨額の負債を背負うことになるマイナスなどのマイナスもあります。しかし、矢沢永吉さんは自分が決心したとおりに、マイナス10があったとしても、プラス10を手に入れた人生を誇りに思っているでしょう。

たぶん、実りが多いというのは、苦労も多いということなのです。例えば、子育ても楽しいこともありますが、それ以上に大変なことばかりです。結婚しないで、気ままに一人で暮らしている方がお金も時間も自由に使えるし、はるかに楽です。ただ、楽をしていると年を取ったときに、実りが無いということになります。

以前、テレビを見ていたときに有名な女優さんが話されたことを思い出します。テレビのドラマや舞台で大成功された方なのですが、結婚はされなかったので、だんなさんやお子さんはいませんでした。印象に残っているのは、それだけ成功された方が、マンションで夕方になると、寂しくて涙が出てくると言われるのです。やはり、子育ては大変でも、子供や孫は大切なものなのだと実感しました。

仕事も同じです。苦労したほど得るものも多いと思います。創業社長は、サラリーマン社長にはないさまざまな苦労があります。しかしその分、実りも多いのだと思われます。

やはり矢沢永吉さんが考えたように、人生ではプラスとマイナスで帳尻が取れているのだと思います。矢沢永吉さんはプラス10を取る生き方を目指しましたが、自分がどの生き方を目指すのか、20代と40代でゆっくり考えることが必要なのだと思います。

そして、その人生の収穫を楽しむのが定年後です。「若い頃の苦労は買ってでもしろ」と言われますが、苦労が多くて、実りの豊かな人生ほど、安らかな晩年を過ごせると思われます。

  • 2012年07月15日(日)19時34分