コラム

産業カウンセラー/臨床心理士 緒方俊雄のコラムです。

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スマホの奴隷

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一昔前に、奥村チヨの「恋の奴隷」という歌が流行りました。
「あなたと逢ったその日から、恋の奴隷になりました~♪♪」
若い頃はこの歌のように「恋の奴隷」になるような素敵な人に出会わないかと憧れたものでした。

しかし、最近の若い人を見ていると「スマホと会ったその日から、スマホの奴隷になりました~♪♪」という人が多いのではないかと思ってしまいます。
「スマホの奴隷」です。
電車の中ではほとんどスマホを見つめています。
歩いている時もスマホで、階段で転ばないのだろうかと心配になります。
デートでも、会話がなく、お互いにスマホを見つめている男女もいます。
6人位の中学校の生徒がファミレスで、会話もなく、みんなスマホを見つめて、ゲームをしています。
もはや体の一部で、お手洗いに入った時も、風呂に入った時もスマホを見つめている人がいるのではないかと心配になってしまいます。
先日、企業の人事の人と話をしていたら、最近の学生はスマホばかりでパソコンを使わないので、新入社員で入ってきたら、先ずはパソコンの使い方を教えなければならないのだと嘆いていました。

なんでこんなにも「スマホの奴隷」の人が増えてしまったのでしょうか。
いろいろな考えがあるとは思いますが、私が思うに、根源的に寂しさをいやしたいのではないかという気がします。
しかし、ブッダが欲望を塩水に例えて、「喉が渇いて、塩水を飲むと、飲めば飲むほど喉が渇く」と言っているように、「淋しくて、スマホに向かっても、寂しさが癒やされないので、なおさらスマホに向かい続ける」という悪循環なのではないでしょうか。
やはり寂しさは人とのぬくもりのなかでしか癒やされないのです。

ガラケーを持って、「僕たまにメールと電話をするくらいだから」と恥ずかしそうに言い訳をしている人を見ると微笑ましくなります。

  • 2017年06月20日(火)16時22分

幸せな恋愛と結婚とは

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カウンセリングで、若い女性の恋愛の相談を受けることがよくあります。どんどん付きあっている男性を変えていく女性の方ももいらっしゃいます。「いくらやっても素敵な男性に巡り会えない。自分は運が悪いのではないか」と。

そういう方の話を聞くと、「今は不幸だがこの人と付きあったら幸せになれる」と思って付きあうのだが、いつもその夢が打ち砕かれてしまう」と言われます。なぜなのでしょうか。

多分、一目惚れの燃え上がるような恋というのは、お互いに相手のいいところだけを見て、錯覚しているのだと思います。

ただ、完全な人などいようはずがありません。付きあっているうちに、相手の欠点が見えてきて、こんなはずではなかったと嫌になってしまう。そして、やっぱりあなたも私を幸せにしてくれないと腹が立ってくる。

宅急便の生みの親で、クロネコヤマトの社長だった小倉昌男さんが「どこかに『理想の相手』がいるわけではない。現実の出会いの中で、その相手を好きになれるかどうかだ」という言葉を言われています。

いかに相手の欠点を受入れられるかということが大切なのではないかと思います。相手の欠点を受入れられてこそ、恋愛が長続きするということです。

結婚も同じです。今は辛くても、結婚したら、幸せになれると結婚にあこがれます。結婚がゴールなのです。

確かに、どの恋愛小説や映画もいろいろなことがあった末に、二人が結ばれることで終わります。

ただ、多分その後の話がないというのは、一緒になった後が、夢のような幸せな生活というよりも、単調な生活で、苦労の連続だから書きようがないのではないかと思います。

結婚は実はゴールではなく始まりなのです。それも苦労の始まりなのです。しばらくして、夢のような状態が覚めてくると、全く違う性格や考えの人と一緒にいるのも、ストレスになってきます。子育ても苦労の連続です。

それでは、結婚しない方がいいではないかと思われるかもしれません。しかし、その苦労の経験を通して、相手の全てを受入れ、かけがえのない存在となっていくのです。

結婚とは幸せの始まりではなく、いろいろな苦労を乗り越えて、より幸せになる過程なのではないかと思います。

今日は、恋愛と結婚における、相手の欠点を受入れることの大切さについて書いてみました。

  • 2017年02月07日(火)10時16分

人とアリの集団の不思議

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リーマンショック以来、日本の多くの会社でリストラが行われています。私の恵比寿のカウンセリングルームでもリストラで相談に来られる方が増えてきました。

昔からどの会社でも20%の人がよく働いて会社を支え、60%の人が普通に働き、20%の人が働かないと言われています。この20%の働かない人に辞めてもらうのがリストラです。

リストラで相談に来られた人の話を聴きながら、少し前に読んだ、「働かないアリに意義がある」(長谷川英祐、メディアファクトリー新書)という本を思い出しました。

その本を読むと、働き者の代名詞のように言われるアリにも良く調べてみると、働かないアリがいるというのです。面白いことに会社と同じで、80%のアリは働いているが、20%のアリは働いていないのだそうです。

ある学者が働いているアリだけを集めて巣を作ったそうです。精鋭だけが集まっているわけですから、実に効率がいい巣のはずです。ところがです、働いていたアリの20%は働かなくなったというのです。不思議なことがあるものですね。

そして、働かないアリだけを集めて巣を作ったら、これも驚いたことに80%のアリは働き出したというのです。ということは、働かなかったアリは実は働けなかったわけではなかったのです。

ということで、どうやっても一つの巣で考えると80%のアリは働いて、20%のアリはさぼっているのです。

ただ、なぜこうなるのかが分かりませんでした。
この謎を解明するために、別の学者がコンピューターを使って、いろいろな割合で働くアリの巣を考え、アリにいろいろな出来事が起るとどうなるのか調べてみました。

すると、不思議なことが分かりました。
何事もなくえさを取って暮らしているには、100%働いているアリの巣が一番効率がいいそうです。

ただ、人間にも東日本大震災や台風のような災害が起るように、アリにも災害が起ることがあります。大雨で巣の穴が埋まってしまうかもしれませんし、子どもが巣を潰してしまうかもしれません。そうすると、100%働いているアリの巣はそれに対応できないで、死に絶えるのだそうです。

ところが、20%働いていないアリがいる巣はその20%のアリが活躍して、巣を復旧するのだそうです。

長い年月生き続けるためには、80%のアリは働いて、20%のアリは働いていない巣が一番よいのだそうです。長い進化の歴史の中でこのような比率が決まってきたのだと思います。

日本の会社も同じかもしれません。何事もなく会社が好調なときには80%の人が働いて会社を支えているのですが、会社が倒産しそうになったり、大事件が起ると、今まで働いていた80%の人はあたふたしてしまいどう対応したらよいか分からない。その時に、働いていなかった20%の人の中から革命児が登場し、会社を復興することがあるということを聞いたことがあります。「働かない社員に意義がある」ということでしょうか。

また、ある経営者から、窓際族の人に会社を辞めてもらうと、別の人が窓際族になり、結局窓際族の人は無くせなかったという話を聞いたことがあります。アリと同じでどうやっても働かない人はでてくるのですね。

この知的生物の人間と何も考えないで生きているアリとほとんど同じだというのはちょっとしゃくですね。でも、そうだとすると、会社が長く反映を続けるためには、20%の働かない人をリストラするのはよくないことになります。

無理に20%の人をリストラするよりも、会社員全員の賃金を20%下げて、全員で難局に立ち向かった方が連帯感も生まれていいのではないかと思います。

今日はリスとトラとアリという動物の話をしてみました。

  • 2015年05月18日(月)15時53分